学校で仕事をしていると、「こういうことができるアプリ、どこかにないかな」と思うことってありますよね。
特別時間割を自動で作ってくれるアプリ。学習内容を動かして見せられる教材。ある子に合ったゲームのような教材。
これまでは検索して、ちょうどいいものがなければ「まあ、ないなら仕方ないか」で終わることも多かったと思います。でも今は、もう一つ選択肢があります。
「ないなら、AIに作ってもらえばいい」
今回、私が最初にAIへ出した指示は、「特別時間割表を作成するアプリを作って。」。これだけでした。そこから実際に使って、「ここが違う」「この条件も入れて」と修正を重ねていきました。
この記事では、そのときの流れと、そこから感じた校務・授業・個別支援への可能性を書いてみます。
最初の指示は「特別時間割表を作成するアプリを作って」
最初から細かい仕様書を書いたわけではありません。
特別時間割表を作成するアプリを作って。
まずは、この一文です。するとAIがアプリの形を作ってくれました。「これだけで、ここまで作るのか」と驚きましたね。
ただ、そのまま学校で使えるかというと、そうではありません。実際の学校の時間割には、学校独自の条件がたくさんあるからです。
- 学年ごとの授業時数
- 専科教員の配置
- 講師が勤務できる曜日や校時
- 図工など連続させたい授業
- 特別教室の重複
- A週・B週で異なる授業
最初にできたものは、あくまでスタート地点でした。

*最初の指示からAIが生成したアプリ。まず形にしてもらい、実際に触りながら必要な条件を追加していきました。*
作る、試す、伝える。この繰り返しだった
やったことはシンプルです。
まず使ってみる。そこで、「この先生はこの曜日しか来ない」「この授業は2時間続きにしたい」「ここは同じ時間に重なったら困る」と気づいたことをAIに伝える。そして、また作ってもらう。
作る → 試す → 修正を伝える → また作る。
これを繰り返しました。実用的なものに近づけるために、学級数、授業時数、図工、音楽、英語、家庭科、習熟度別算数、専科教員や特別教室の重複など、必要な条件を一つずつ追加していきました。
最初から全部を思いつく必要はなかったんですよね。使ってみるからこそ、「あ、この条件も必要だった」と分かります。

*学校独自の条件を追加して改善した画面。実際に使いながら、必要な条件を一つずつAIに伝えていきました。*
これが「バイブコーディング」
こうして自然な言葉でAIに指示しながらアプリやプログラムを作っていく方法を「バイブコーディング」と呼ぶことがあります。
今回、私はコードを書いていません。やったのは、学校で実際にどう動いているのかをAIに説明することです。
AIはプログラムを作れます。でも、私の学校の事情までは知りません。一方、私はプログラムの専門家ではありませんが、「この授業はここに入れたい」「この先生とこの先生は重なってはいけない」「こうなっていた方が現場では使いやすい」ということは分かります。
だったら、学校のことを知っている先生が条件を伝えて、形にする部分をAIに任せればいいんですよね。
担当の先生に見てもらうと、さらに改善点が出てきた
ある程度できたところで、実際に担当する先生にも確認してもらいました。すると、自分一人では気づかなかった要望が出てきます。それをまたAIへ伝えて修正する。
AI → 私 → 担当者 → 私 → AI
という形です。
ここで感じたのは、生成AIを使うことは「AIに全部任せる」ことではないということです。
何を条件にするのか。何を絶対に守らせるのか。出てきたものが本当に使えるのか。そこを判断するのは人間です。
AIに作ってもらって、最後は現場を知っている人が確認する。この役割分担が大事ですね。
教師が安心して使うために、ここだけは確認しておきたい
学校で使う以上、便利だから何でもAIに入れていいわけではありません。私は、まず個人情報を安易に入力しないことが大前提だと考えています。
例えば今回の時間割アプリなら、最初から実在する児童生徒の氏名を入れなくても作れます。「1年1組」「専科A」のように、個人を特定する必要がない形で試せるなら、まずはそうする。
授業用の教材を作る場合も同じです。「昆虫が好きな○○さんのために」と実名を入力しなくても、「昆虫が好きな小学生が取り組みやすい教材」と伝えれば作れますよね。
AIに伝える必要のない個人情報は、そもそも入力しない。この感覚は持っておいた方がいいと思います。
また、AIが作ったものを、そのまま正しいと思って使わないことも大切です。授業時数は合っているか。先生の配置は重複していないか。実際の学校の条件を満たしているか。最後は人が確認します。
教材も同じです。AIが作った説明や問題に間違いがないか、教師が確認してから子どもに使う。「作るところはAI、判断するところは人間」くらいに考えておくと使いやすいと思います。
画像・文章・キャラクターなどを使う場合には、著作権への配慮も必要です。そして何より、所属する自治体・教育委員会・学校で生成AIの利用ルールが定められている場合は、そのルールを確認した上で使うことが前提です。
便利そうだから使うだけではなく、安全に使える範囲を確認してから使うという姿勢が大切ですね。
この記事は2026年9月時点の情報と私自身の利用経験をもとにしています。生成AIを学校で利用する際は、所属する自治体・教育委員会・学校の最新ルールに加えて、文部科学省の最新のガイドラインも確認してください。
「PDFにしたい」「Excelでも使いたい」も、そのまま伝えた
時間割が作れるようになると、今度は「印刷したい」「PDFで出したい」「Excelでも使いたい」「スプレッドシートでも扱いたい」という要望が出てきました。これも、そのままAIに伝えました。そして、そうした機能も追加していきました。
ここで私の中の考え方が少し変わりました。
できるかどうかを、自分で先に判断しなくてもいい。
「こうしたいんだけど、できる?」と、まずAIに聞いてみる。うまく動かなければ、「ここが動かない」と伝える。これくらいでいいんですよね。
最後は「このアプリをもう一度作るための指示」まで作らせた
ある程度完成したあと、私はAIにこう指示しました。
このアプリを再現するプロンプトを作成してください。別のアカウントで再生成して使用する目的です。
すると、それまで追加してきた条件を整理した詳しいプロンプトが生成されました。
学級数を変更できること、A週・B週を作ること、図工を連続させること、専科教員を重複させないこと、条件違反があれば知らせることなど、それまでの修正内容が整理されていました。
つまり、アプリだけではなく、このアプリをもう一度作るための設計図までAIに作ってもらえたわけです。年度が変わったときや、別の環境で作り直したいときにも使えますよね。
有料版じゃなくても、まず試してみればいい
私は普段、ChatGPTの有料版を使っています。ただ、今回作った「アプリを再現するためのプロンプト」を無料版でも試してみました。すると、きちんとアプリが生成されました。
GoogleのGeminiやChatGPTなど、まずは無料で使える生成AIから試してみてもいいと思います。「アプリを作るなら、最初から課金しないと無理」と身構える必要はないんですよね。
まず、「こんなもの作れる?」と聞いてみる。そこからで十分です。
なお、無料版・有料版の機能、利用回数、提供条件などは変更されることがあります。この記事は2026年9月時点の私の利用体験をもとにしています。利用する際は各サービスの最新の公式情報を確認してください。
一度経験すると、授業でも「AIに作らせればいいか」と思うようになる
時間割アプリを作ったこと以上に大きかったのは、自分の発想が変わったことです。何か思いついたとき、「これ、AIに作らせればいいか」と考えるようになりました。
例えば算数です。平行四辺形の面積を学習するとき、一部を移動させると同じ面積の長方形になる。いわゆる等積変形ですね。
「ここが実際に動いて見えたら分かりやすいのに」と思ったら、それを操作できる簡単なアプリをAIに作ってもらうこともできます。
「平行四辺形を動かして、同じ面積の長方形になることが分かるようにして」と伝える。必要なら、「ここを動かせるようにして」「数字も表示して」と修正する。
これまでなら「そういう教材、誰か作ってないかな」と探していたものを、自分の授業に合わせて作れるようになってきたんですよね。
その子に合わせた教材だって作れる
もう一つ可能性を感じているのが、個別な配慮が必要な子への活用です。例えば昆虫が大好きな子がいたとします。その子が少しでも取り組みやすくなるように、
- 昆虫のイラストを出す
- キャラクターを動かす
- 正解したら変化が起きる
- ゲームのように進める
といった、その子に合わせた教材を作ることもできます。
以前なら、一人の子のためだけにデジタル教材を一から用意するのは、かなり大変でした。でもAIによって、そのハードルは下がってきています。個別最適な学びを考えるうえでも、一つの選択肢になっていくんじゃないでしょうか。
必要なのは「プログラミング力」より「具体的にイメージする力」
実際にやってみて感じるのは、特別な技術以上に大切なのが、自分が欲しいものを具体的にイメージして、言葉にすることだということです。
- 誰が使うのか
- 何をしたいのか
- どんな動きをしてほしいのか
- 今、どこで困っているのか
ここが具体的であるほど、AIにも伝えやすくなります。これは、教師が普段やっていることと相性がいいと思うんですよね。
「この子はここでつまずいている」「この説明では伝わりにくい」「ここが動いて見えれば理解しやすいかもしれない」。そうやって子どもを見て考えたことを、そのままAIに伝える。それが教材やアプリという形になって返ってくる可能性があります。
全部デジタルにすればいいわけではない
もちろん、「具体物はいらない」「紙はいらない」「全部AIにすればいい」という話ではありません。
実際に触る。紙に書く。物を動かす。教師や友達と話す。そうした学びは、これからも大切です。
でも、それだけではなかなか食いつかない子もいますよね。具体物が合う子には具体物。紙が合う子には紙。動く画面やゲーム性があった方が取り組みやすい子には、それも使ってみる。
AIは、今までの方法を捨てるためではなく、選択肢を増やすために使えばいい。私はそう考えています。
まとめ|「誰か作ってくれないかな」で終わらなくていい
今回のスタートは、「特別時間割表を作成するアプリを作って。」。たった一文でした。
そこから、
- まず作ってもらう
- 実際に使う
- 足りない条件を伝える
- また作ってもらう
- 担当者にも確認してもらう
- 個人情報や学校のルールを確認する
- 最後は人間が判断する
これを繰り返して、学校で使うことを想定したところまで近づけていきました。
時間割だけではありません。校務でも、授業でも、個別支援でも、「こんなものがあればいいのに」と思ったとき、これまでは「誰か作ってくれてないかな」と探していました。
これからは、「なければ、AIに作ってもらおう」という選択肢もあります。
ただし、便利さと安全性はセットです。守るべきところは守る。最後は教師が確認する。その上で、新しい道具を使っていけばいいと思います。
もう令和です。
良いものは残す。そして、より良いものがあれば新しく取り入れる。昔からある良いものを大切にしながら、新しい選択肢も使ってみる。
そういう柔軟性が、これからの教師には今まで以上に必要になってくるんじゃないでしょうか。
