運動会や体育祭の当日、先生たちは大忙しです。毎年、もっと効率よく運営ができないか改善を重ねてきました。さらに新型コロナウィルス感染症の影響で、競技の数を減らしたり、複数学年合同に種目を変えたりして様々な削減をしてきたと思います。多くの学校は「もうこれ以上何を減らせばいいのかわからない。」「これ以上効率よくするにはどうすればいいのかわからない。」と言う所まで変化させてきました。
この記事では、こうした悩みを抱える先生にICTを活用して、集計と連絡(伝達)を自動化し効率化した方法をお伝えします。この方法によってタブレットを使って得点簡単に入力したり、得点の掲示板を担当する先生にリアルタイムで情報を共有することができるようになります。得点係の人数を最小限に減らすことができるかもしれません。
今年は思い切ってスプレッドシートとタブレットを活用した方法に切り替えた結果、集計作業がグッと楽になっただけでなく、教員どうしの「あれ、もう反映された!?」という驚きの声があがりました。
- 運動会の実行委員長
- 得点係を担当
- ICTの担当
- 業務改善に関心のある
- これまでにないICT活用に関心がある
これらのどれかに当てはまる先生はぜひこの先読み進めてください!最後にはサンプルのスプレッドシートも無料でお配りしています、ぜひお役立てください!
また、この記事が役に立ったら、知り合いの先生やXなどでシェアしていただけると励みになりますのでぜひ、お願いします!
手計算・手渡し・口頭確認…そんな時代はもう終わり?

これまでの運動会の得点集計は、以下のような光景が当たり前でした。
- 競技直後に教師や児童が階段を上がって得点係へ報告に走る
- 得点担当がそこから電卓で合計
- 最後の最後、どっちが勝ったか曖昧で何度も計算し直し…
こうした煩雑さを、解決する方法が今は簡単にできるのです。それはタブレットでスプレッドシートを開いて、そこに入力するだけ!しかも、どこで入力しても、どのタブレットの画面にリアルタイムで反映されるので、全員が即確認ができて、得点掲示の仕事もサクサク!
徒競走「あの子何位だったっけ?」がなくなる工夫
徒競走では、ゴールした児童がすぐに「1位赤、2位白、3位赤…」と伝えてきますよね。でもそれをメモして、さらに電卓で一つ一つ集計して…となると、どこかでミスが起きがち。
今年は校庭では担当の先生1人がタブレットを持ち、係児童が自分が担当する順位だけの赤白をプルダウンでタブレット入力する方式にしました。
これがとにかくスムーズ!
- プルダウンで入力ミスなし
入力は必ずプルダウンに!セルに直接入力していると「赤組」「あか」「赤ぐみ」など入力にズレが出るんですが、プルダウンなら選ぶだけで全て同じように入力ができます。 - 同着にも対応
2人同着、3人同着、ありますよね。そんな時も同じ着順に複数人分の入力欄を設けて、きちんと対応。ちなみに、4人同着は未経験ですが、必要に応じて増やしてください。
団体競技の勝ち・負け・引き分けもプルダウンだけ
団体競技や全校競技は、あらかじめ得点が決まっているので、「勝ち」「負け」「引き分け」もプルダウンで選ぶだけ。これも大助かりです。
- 数字のミスも防止
数字を打つときって、全角・半角が混ざってしまうと計算する関数やプログラムが正常に動かないことも。これもプルダウンで「10点」「5点」「0点」と選べるようにしておけば安心。
子どもたちも入力担当にするタブレット活用のチャレンジの具体例
今回はさらに一歩踏み込んで、子どもたちに得点入力を任せる取り組みもしてみました。
- 5コース制だったので、児童5人にタブレットを配り、それぞれが「自分の順位の色だけ」を入力
- 教員用ファイルで一覧表示し、間違っていないかをその場で確認
- 間違っていたらすぐ修正
入力担当の子どもたちも「これ、できるかな…?」と最初は不安そうでしたが、やってみたら意外とスムーズ!むしろ自分の役割があるということで、競技中もすごく集中していたように感じました。
使ったのは、児童用5台+教員用1台のタブレット。ツールはGoogleスプレッドシートのみ。すべて同じGoogleアカウントでログインでも使用でき、リアルタイムな共同編集ができます。
私の失敗談
一つだけ、ヒヤッとしたことがあります。
ある児童が、操作ミスで列を追加してしまい、入力位置がズレてしまったんです。最初は本人も焦っていましたが、事前に「ミスしても大丈夫。すぐ先生に知らせてね」と伝えていたので、冷静に報告してくれました。Googleスプレッドシートは列の追加やシートの追加などのブロックはかけられないようなのでエデュケーション版だけでも改善されるといいなと惜しい気持ちです。
ただ、こうしたこともあるので、次のように事前に事前に心構えや準備をしておくと良いです。
- 事前の練習・声かけで安心感を持たせる
- 校内にスプレッドシートや関数に詳しい教員が管理側に1人いる
この2つがあるだけで、トラブル時の対応力が全然違います。

子供に別シートから入力させる時はこのようにINPORTRANGE関数を使ってスプレッドシートIDを連動させてください。
教員の人数が増えないなら、やり方を変えるしかない
もし「もっと先生がいたら、こんな工夫しなくていいのに」と思ったことがあるなら、私も同じです。
でも、現実は残念ながら教師が増えることはあまり見込め無さそうです。むしろ今後も教員が急に増えることはないと考えると、「じゃあ、どうする?」という視点が大事なのだと思います!
ICTは“楽をする”ためのものでもありますが、それは私たちの不足分を補ってくれる強力な相棒のようなもの。上手に活用することで少ない人数でも行事を無理なく進行するための必須アイテムです。
運動会にも“働き方改革”を!
運動会の得点集計は、工夫次第で本当に楽になりました。
しかも、子どもと一緒にICTを活用することで、運営の担い手としての意識や達成感も味わわせることができる。これは、ただの「時短」ではなく、教育活動の一環としても価値があります。
忙しいけれど、少しだけ視点を変えてみませんか?
運動会にも、ICTにも、きっとできることがもっとあるはずです!