はじめに:ICTが進まないのは、誰のせい?
「学校でICTを進めようとしてるのに、なんだか自分だけが頑張ってる気がする…」
「周りは“便利そう”って言うだけで、実際には誰も動かない」
「管理職にも相談するけど、ふわっとした返事しか返ってこない」
そんな風に感じたことはありませんか?
私も同じでした。
ICT担当として10年以上、現場でいろんな取り組みをしてきましたが、最初は孤独の連続でした。
- 調査も提案も全部自分
- 導入しても使われない
- 「それ、前のやり方でいいよ」と言われる
それでも今、私はICTの推進を前向きに、楽しく取り組めています。
それは、“技術”ではなく、“人との関わり方”に目を向けたからでした。
この記事では、ICT担当としての経験から得た
「推進が進まない理由」と
「孤立しないためにできること」
を、実体験とともに紹介します。
ICTが当たり前じゃなかった世代が今、中心にいる
今の管理職やベテラン教員の多くは、ICTが当たり前じゃなかった時代に教育をしてきました。
パソコンやスマホを仕事に使う文化もほとんどなかった時代です。
そんな中で、急に「ICT活用を進めましょう」と言われても、戸惑いや不安が生まれるのは当然のこと。
これは責めるべきことではありません。
過去の経験に基づいて判断するのは、人として自然なことです。
現場の先生へ:まずは“助ける”ことから始めよう
私はICT担当として10年以上活動してきました。
特別すごいスキルがあるわけではありませんが、「自分ができること」を少しずつ重ねてきました。
特に大切にしてきたのが、“頼まれていないことでも、良くなるためにやる”という姿勢です。
- 教育委員会から届くGoogleフォームの調査を管理職に代わって処理
- 校務の一部をスプレッドシート関数で自動化
- 先生方のちょっとした「困った」を拾ってサポート
そんなとき、管理職の先生方がいつも「ありがとう、助かるよ」と言ってくれます。
そのひと言が、次の行動の原動力になります。
管理職の先生へ:できないことは、恥じゃない
ICTが得意でないことを、「申し訳ない」「ついていけない」と思わないでください。
むしろ、「得意な先生に任せる」「感謝を伝える」ことで、現場はぐっと動きやすくなります。
私自身、管理職の先生方の「挑戦を応援するスタイル」と「感謝の言葉」に支えられて、ここまで活動を続けてこられました。
ICT推進は、一人の力ではできません。
“任せる力”もまた、重要なリーダーシップのひとつです。
必要感から始めよう。「みんなが困っていること」がヒントになる
ICTの導入は、「便利だから」ではなく「ないと困る」から始めるのが一番強いです。
- 欠席連絡の電話が朝に集中して先生が教室に行けない → Googleフォームで連絡をオンライン化
- 副校長先生が名簿を手作業で作っている → スプレッドシートで自動化
「便利」よりも「必須」。それが動き出すスイッチになります。
コロナ禍で気づいた“本当に必要なICT活用”
新型コロナによる学校閉鎖で、急遽オンライン授業が必要になった時のこと。
ZoomやGoogle Meetの使い方に先生も保護者も子どもも混乱しました。
多くの先生が「機器トラブルなら今日は授業はなし」と判断していましたが、私は「なんとかしてつなげたい」と思いました。
社会人時代に電話サポートをしていた経験を活かして、保護者と電話越しに画面を共有するように案内し、トラブルを解決しました。
こうした“必要に迫られて動いた”経験こそが、ICT推進の本質なのだと思います。
先生たちの「わかってるけど、今はやりたくない」にどう向き合うか
多くの先生は「ICTは便利だ」と分かっていても、
- これ以上仕事を増やしたくない
- 覚える時間がない
- 失敗するのが怖い
と感じています。
これは、“変わりたくない”のではなく、“変わるのが怖い”のだと思います。
覚える=仕事が増える、の壁をどう超えるか
新しいツールの導入や学び直しは、一時的に負荷が増えるもの。
でも、長期的には「自分を楽にする投資」だと私は考えています。
だからこそ、無理に押しつけず、
- 自分が先にやって見せる
- その人の「困りごと」に直結した提案をする
- いつでも聞ける安心感を作る
そんな“寄り添い型の提案”が大切です。
私がこの活動を続ける理由
私は授業力や学級経営に自信があるわけではありません。
でも、「学校全体で見たとき、自分の得意で貢献できることがある」と気づいたんです。
ICTは、私にとって“ちょっと得意なこと”。
でも、それが他の先生や管理職の方にとっては、「すごく助かること」。
私が5分でできることが、誰かの30分を救う。
それって、十分に価値があると思うんです。
おわりに:あなたの力が、きっと誰かの力になる
ICTの推進に必要なのは、完璧なスキルではなく、
「誰かのために動こう」とする姿勢と、
それを「ありがとう」と受け止めてくれる関係性です。
あなたの中にも、誰かの役に立つ力があります。
その力を活かせる場所が、学校という“チーム”の中にはきっとあります。
一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。
焦らなくていい。でも、止まらないでください。
この記事が、あなたの次の一歩の力になれば幸いです。