【第四章】ICTで「やらない」と決める勇気

業務改善

ICT担当というと、

「何でもデジタル化する人」

「とにかくICTを進める人」

と思われがちだ。

けれど、実際の現場で必要なのは、

ICTでやることを増やす力と同じくらい、

ICTでやらないと決める力だと、私は感じている。

正直に言うと、私自身もそうだった

正直に言えば、

私自身も、

改革したい、効率化したいという思いが強く、

何でもデジタル化しようとしていた時期があった。

アナログは非効率で、

デジタルは正しい。

どこかで、

そんなふうに考えていたのだと思う。

授業づくりでは

「ベストミックス」という言葉がよく使われる。

アナログとデジタル、

それぞれの良さを活かして組み合わせる、

という考え方だ。

働き方改革においても、

本来は同じはずなのに、

いつの間にか

「できるならデジタルに」

という思考に寄ってしまっていた。

うまくいかなかった理由は、ICTではなかった

やってみて、分かった。

うまくいかなかった理由は、

ICTそのものではない。

現場とのズレだった。

  • 手でやった方が早い場面
  • 一目で全体が把握できる方がよい仕事
  • その場で確認・修正した方が楽な作業

そこにまで

「デジタルの正しさ」を押し込もうとすると、

現場は静かに疲れていく。

大きな反対は出ない。

でも、

形だけ導入され、

使われなくなっていく。

その繰り返しだった。

働き方改革で大切なのは「必要感」

働き方改革の視点で

私が最も大事だと感じているのは、

必要感があるかどうかだ。

  • 今、どこが苦しいのか
  • 何が時間を奪っているのか
  • 誰の負担が大きいのか

そこに答えられないデジタル化は、

続かない。

だから私は、

「デジタル化した方が便利ですよ」

とはあまり言わない。

代わりに、

こう問いかける。

「学校全体で見たとき、

こちらの方が楽になりませんか?」

0から1をつくるとき、腰は重くなる

一方で、

0から1を生み出す場面では、

どうしても職員室の腰は重くなる。

特に、

これまでアナログで成果を出してきた

ベテランの先生ほど、慎重になる。

それは当然だ。

今までうまく回っていたやり方を、

あえて変える必要があるのか。

そう感じるのは、自然なことだ。

だから、説得しない。やって見せる

そんなとき、

私は説得しようとはしない。

「デジタルの方が正しい」

とも言わない。

代わりに、

実際にやって見せる。

  • 一部の業務で試してみる
  • 小さく導入してみる
  • 結果を、そのまま見せる

そして、

「デジタル化した方がいいですよね」

ではなく、

「学校単位で見ると、

こちらの方が効率が良くなっていますよね」

という“つながり”を、

実感してもらっていく。

ベストミックスは「納得」から生まれる

ベストミックスは、

頭で理解してもらうものではない。

納得してもらうものだ。

アナログの方が成果が出るところは、

無理に変えない。

一方で、

全体最適の視点から見て

明らかに手間が減る部分は、

少しずつデジタルに置き換えていく。

その積み重ねが、

自然なデジタル化につながっていく。

合理的かどうか、を想像する

結局のところ、

私が一番大切にしているのは、

合理的かどうかという視点だ。

新しいかどうかではない。

デジタル化できるかどうかでもない。

何の手間が削減されて、

その結果、何がどう変わるのか。

そこを、具体的に想像できるかどうかだ。

「楽になる」ではなく、「何が消えるか」

「便利になります」

「効率化できます」

それだけでは、人は動かない。

  • どの作業がなくなるのか
  • 何分、何時間が浮くのか
  • 誰の負担が軽くなるのか

それを言葉にできない改革は、

現場では定着しにくい。

逆に、

具体的に想像できる改革は、

反発されにくい。

ICT担当は、翻訳する役割

ICT担当の仕事は、

「できること」を語ることではない。

何が消えて、何が残るのか。

それを翻訳して伝えることだ。

デジタルにすることで減る手間。

逆に、増えてしまう作業はないか。

現場の一日の流れはどう変わるのか。

そこまで含めて説明できて、

初めて

「今より良くなるかどうか」

を判断できる。

進める勇気と、立ち止まる勇気

ICT担当に必要なのは、

進める勢いだけではない。

  • あえて進めない判断
  • 今はやらないと決める勇気
  • アナログを残す覚悟

それらも含めて、

ICT担当の仕事だと思っている。

ICT担当は、ブレーキも踏める人でありたい

改革したい気持ちは、

悪いものではない。

でも、

アクセルだけ踏み続けると、

現場は必ず置いていかれる。

だからICT担当は、

必要なときに

ブレーキも踏める存在でありたい。

それは、

改革を諦めたということではない。

長く続く改革にするための判断だ。

次章へ

ICT担当が「何でも屋」にならないために

次の第5章では、

こうした判断を

どう言葉にして伝えるか。

  • どう断るか
  • どう任せるか
  • どう説明するか

ICT担当が潰れないための

断り方・伝え方について、

具体的に書いていく。

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