学校ICT担当の
仕事整理術

大量の単純作業を抱える人ではなく、教師が本来の仕事へ集中できる仕組みを作る人へ。ICT担当として経験した全6章をまとめました。

ICT担当が支援員や先生と仕事を進める学校
ICT担当は、すべてを抱える人ではなく、学校の仕事を設計する人。

ICT担当になって最初に大変だと感じたのは、最新技術や難しい設定ではありませんでした。GIGA端末を箱から出し、一台ずつ起動・初期設定し、端末番号や使用者を台帳へ入力する、膨大な単純作業でした。

ICT担当者が支援員や先生と役割を相談する場面
すべてを一人で抱えず、担当する仕事と外部へ任せる仕事を整理する。
この記事の結論

ICT担当の仕事は、何でも自分ですることではありません。問題と無駄を見つけ、自分が行う仕事と外部へ任せる仕事を分け、現場が回る仕組みを作ることです。

01

ICT担当になった日から仕事は増える

端末一台の初期設定は数分でも、何十台、何百台となれば丸一日、あるいは何日もかかります。その時間だけ、授業準備、子供と話す時間、同僚と相談する時間が削られます。

01単純作業が時間を奪う

箱出し、初期設定、番号入力など、難しくない作業が大量にある。

02「ICTっぽい」で集まる

ICTに関係しそうな仕事が担当者へ次々に集まる。

03調整まで一人で抱える

作業だけでなく、人や日程の調整も担当者へ集中する。

問題は単に仕事が多いことではなく、教師としての本来の仕事と、ICT担当の仕事を両立し続けなければならない構造にあります。

02

他の先生ではなく外部の力を借りる

最初に決めたのは、単純作業をほかの先生へ割り振らないことでした。自分の負担を減らすために、別の先生の時間を削るだけでは働き方改革になりません。そこでICT支援員へ依頼しました。

端末の箱出し大量の端末を箱から出し、作業できる状態にする。
初期設定決めた手順で全台の設定を進める。
番号管理端末番号を確認し、管理できる状態にする。
片付けゴミを処理し、全台を保管庫へ戻す。

日程を先読みして支援員を予約し、個人情報を含まない作業をほぼすべて任せました。その結果、作業は丸一日で完了し、私は授業や子供への対応に時間を使えました。

03

頼み方はスキルである

支援員へ任せても、期待した結果にならなければ、相手ではなくこちらの頼み方が曖昧だった可能性があります。依頼するときは次の内容を明確にします。

いつまでに期限を伝える
何を対象の作業を伝える
どのように方法をそろえる
どれくらい台数や量を伝える
どうしてほしいか完成の状態を伝える

途中経過も早い段階で連絡してもらいます。すべて終わってから「違うのでやり直して」とならないよう、最初のすり合わせを丁寧に行います。

外部に校務用システムを作ってもらった際、現場の感覚とのズレを感じたこともありました。外部の力は強力ですが、現場のニーズを相手の言葉へ翻訳する役割はICT担当にしかできません。

04

「全部やらない」と決める

最初に手放したのは単純作業です。時間がかかるほど早めに手放し、自分は学校に必要な仕組みを考える仕事へ時間を使います。

見る日常の困りごとを見つける
考える何が問題で、どこに無駄があるか
作る0から1の仕組みを作る
確かめる学校全体に役立つかを見る

新しいICTを導入すること自体が目的ではありません。「便利になります」ではなく、導入すると具体的に何の仕事が消えるのかを示します。必要感がなければ、今はやらないと決めることも必要です。

ICT担当はアクセルを踏む人だけでなく、必要ならブレーキも踏める人でありたい。

05

何でも屋にならない対応

相談は、相手が困っている状況だと捉えます。最初から断るのではなく、まず現場を見ます。ただし、時間がかかるものはその場で抱え込みません。

時間がかかる

いったん預かり、いつまでに確認するかを伝える。

管理者権限が必要

自分で決めず、管理職や教育委員会と役割を分ける。

完成を急ぐ

まず80%の形で返し、「試して直したい点を教えてください」と添える。

管理職、教育委員会、現場の先生は、それぞれ見ている範囲が違います。断られたときは理由を確認し、自分の視点だけで判断せず、相手の視座から考え直します。

06

学校のICTは「人」の中にある

学校のICTは、企業の仕組みをそのまま入れれば動くものではありません。導入された仕組みが現場の「かゆいところ」に届かないこともありますが、それは誰かの悪意ではなく、見えている課題が違うためです。

聞く「今、一番面倒なことは何ですか」と現場へ聞く。
翻訳する先生の困りごとを、外部や管理者へ伝わる言葉にする。
つなぐ入っている仕組みを、実際の学校の仕事へ結びつける。

ICT担当とは何でもできる人ではなく、学校が回るように仕事を設計する人です。ICTが共通の話題となり、人と人が話すことから活用が始まります。