学校全体にICTを
広げる方法

「便利だから使ってください」では動かなかった。先生方が本当に困っている仕事から始め、タブレットを使う必然性を作った実践です。

ICT活用が教職員へ少しずつ広がる学校
便利さを説明するより、実際の困りごとを一つ助ける。

ICT担当として調査も提案も行っているのに使われない。「前のやり方でいい」と言われ、自分だけが頑張っているように感じることがありました。そこで気づいたのは、道具の便利さではなく、先生方の必要感から始めることでした。

先生同士がタブレットを見ながらICT活用を相談する場面
道具を先に勧めず、先生方の困りごとを一緒に解決するところから始める。
この記事の結論

先生方の「困った」をICTで助け、毎日確認しなければならない仕事に組み込む。私の学校では、欠席連絡の電子化がタブレット利用の習慣化につながりました。

01

便利さを広めようとして失敗した

私はGoogle ChatやGoogleカレンダーをいち早く使い、職員室の連絡をChatへ移そうとしました。しかし結果は不発でした。後輩教員からは「連絡がうるさいので通知を切っていました」と言われ、ほかの先生からも「便利そうだけれど、よく分からないので変える必要性を感じない」という意見が多く出ました。

私が失敗だったと思うことは、「便利さ」を広めようとしたことでした。

ICTが便利だと分かっていても、これ以上仕事を増やしたくない、覚える時間がない、失敗するのが怖いと感じる先生はいます。説明だけで使ってもらおうとしても進みませんでした。

02

まず先生を助ける

そこで、道具を勧める前に、目の前の先生や管理職の仕事を助けることから始めました。

調査への回答教育委員会から届くGoogleフォームの調査を管理職に代わって処理する。
校務を自動化スプレッドシートの関数を使い、手作業を減らす。
小さな困りごと先生方の「ちょっと困った」を拾い、その場で支える。

自分が先にやって見せ、その人の困りごとに直結した提案をし、いつでも聞ける安心感を作ることを意識しました。

03

使う必然性を作る

学校全体が困っていることには、活用を広げるきっかけがあります。たとえば、朝に欠席連絡の電話が集中して先生が教室へ行けない問題や、副校長先生が名簿を手作業で作っている問題です。

1困りごとを見つける
2ICTで助ける
3効果を実感する
4毎日の習慣になる

コロナ禍では、必要に迫られたことでオンライン連絡やデジタル活用が一気に進みました。この経験からも、必要感が活用を動かすと感じました。

04

欠席連絡からタブレットを習慣化する

勤務校ではGoogleフォームで欠席連絡を電子化しました。保護者が入力した内容はGoogleスプレッドシートへ自動集計され、管理職や担任がすぐに確認できます。

それまで

朝の電話が集中し、受けた内容を担任へ伝える。

電子化後

保護者がフォームへ入力し、先生が端末で一覧を確認する。

導入時は、管理職や養護教諭から「ここを使いやすくしてほしい」という意見をもらい、何度も改良しました。その結果、「これなしでは業務が回らない」と言われる仕組みになりました。

もう一つの狙いは、全員がタブレットを毎日持ち歩く環境を作ることでした。欠席情報を確認するために端末を出す必要が生まれ、保管庫へ入れたままだった先生も、自然に毎朝使うようになりました。

05

学校ルールを「伝わる」形にする

タブレット活用が広がると、先生によって説明が違わないように学校共通のルールを伝える必要があります。ここでは、Canvaで子供に伝わるプレゼンテーションを作り、短時間で説明する方法を紹介します。

YouTube授業で指示された場合に使い、関係のない動画を見ない。
休み時間学校で決めた使い方を守り、ゲームは禁止する。
写真・動画勝手に撮影したり、写真を加工したりしない。
著作権インターネット上の画像や文章を自由に使わない。
学校の貸与品家庭用端末とは違い、税金で購入された学習用の道具として大切に扱う。
利用履歴教育委員会のシステムで使用履歴が記録・監視されていることを伝える。

単に禁止事項を並べるのではなく、「誰かのものを勝手に使わない」「インターネットのルールを守る」「公共のものを大切にする」といった社会の基本と結びつけて説明します。

06

ルールを守るから、作るへ

最初は大人がルールを示しますが、これからは子供が失敗から学び、自分たちでよりよい使い方を考える姿を目指します。

使う学習の道具として試す
失敗する問題点に気づく
考えるよりよい使い方を話す
作る自分たちのルールへ

ICTを禁止するだけでなく、社会で生きるための考え方を身につけさせることが、タブレット利用指導の目的です。