生成AIを何度か使ったことはある。でも、出来上がったものが思いどおりにならないと、次に何を伝えればよいのか分からない。
この記事は、そんな先生に向けて書いています。
結論から言うと、最初から完璧なプロンプトを書く必要はありません。まず作ってもらい、出来上がったものを見ながら、「もっとこうしてほしい」と普段の言葉で伝えていけばよいんですね。
今回紹介するのは、小学生向けの新選組クイズを3段階で改善した実例です。見た目だけでなく、文字化け、ルビ、吹き出し、歴史的な説明など、生成AIで教材を作るときに私が確認していることもまとめます。
「AIって、こんな感じにしかならないの?」から始まった
「なんかAIって、スライドを作るとこんな感じにしかならないの?」
ある先生が、少しがっかりした様子で相談してきました。作りたかったのは、小学生向けの新選組クイズです。
その先生は、AIをまったく使ったことがないわけではありません。ただ、普段の仕事でときどき使っているけれど、うまくいかないと、そこからどう直せばよいのか分からない。そんな状態でした。
最初に生成されたスライドは、紺色の背景に説明文と4択クイズが並んだものでした。内容は整理され、クイズとしても成立しています。ただ、小学生が見たときに「やってみたい」と感じるには、もう少し工夫できそうでした。
AIは、先生の頭の中にある完成イメージまで最初から理解しているわけではありません。そこで、難しい命令文を考えるのではなく、職員室で隣の先生へ頼むような言葉で追加の希望を伝えてみました。

「小学生が食いつくデザインで」と伝えてみた
実際に追加した指示は、次の一文です。
小学生がつい食いついてしまうようなデザインで。
複雑な役割設定や長い制約条件は付けていません。それでも、スライドは明るい配色になり、「ドキドキ!3問クイズ」という見出しや、色分けされた選択肢が加わりました。
次に、さらにこう伝えました。
土方歳三とかは侍のイラストにするとかして、いい感じにバランスよくイラストもパワポ内に入れて、もう一度作って。
「いい感じに」という曖昧な言葉も含まれています。それでも今回は、表紙に「誠」の旗、京都の町並み、子供向けの人物や猫のイラストが加わり、新選組の世界観が伝わる方向へ変わりました。
ここで紹介するのは制作途中の画像です。授業で使用したときの子供の反応や学習効果を確認したものではありません。また、3回目の画像には、授業前に修正すべき歴史的な表現も残っています。


大切なのは「誰に、何のために、どんなものを見せたいか」
私は、生成AIで教材を作るときに大切なのは、難しいプロンプトの型を覚えることよりも、ゴールの解像度を上げることだと感じています。
ここでいう「ゴールの解像度」とは、次の3つを具体的にすることです。
- 誰に見せるのか
- 何のために使うのか
- 見た人に、どんな気持ちや行動を生みたいのか
今回のゴールは、単に「新選組について書かれたクイズを作る」ことではありませんでした。小学生が興味をもち、歴史の世界を感じながら、クイズへ参加したくなる教材を作ることです。
最初からすべてを言葉にできなくても大丈夫です。最初の成果物を見たからこそ、「もっと子供向けにしたい」と気づくことがあります。2回目を見たからこそ、「新選組らしい世界観がほしい」と考えられることもあります。
以前紹介した「誰か作ってくれないかな」から「AIに作ってもらおう」へでも、最初から細かな仕様を決めず、作る、試す、伝えるという流れでアプリを改善しました。スライド作りでも同じです。
うまくいかないときは「どこを、どうするか」を一つずつ伝える
全体の方向が決まった後は、修正箇所を具体的に伝えます。
例えば、吹き出しの向きがおかしい場合は、次のように頼みます。
3枚目のスライドの右下にある猫の吹き出しについて、根元が猫ではない方向を向いています。吹き出しの根元が、話している猫の口元へ向くように修正してください。それ以外の部分は変更しないでください。
「吹き出しを直して」だけでは、AIが別の部分を変更する可能性があります。どのページの、どの場所にある、何を、どのように直すのかまで伝えます。
私は、基本的に一度に一つずつ修正しています。
- 直したい箇所を一つ決める
- 現在の状態と希望する状態を伝える
- 修正結果を確認する
- ほかの部分が変わっていないか確認する
- 問題がなければ次の修正へ進む
一度にたくさん頼んだ方が早そうですが、私の場合は、別の部分まで変わったり、新しい不具合が生まれたりすることがありました。一つ直して、一つ確認する方が仕上げやすいと感じています。
ルビが2回直らなければ、別の方法へ切り替える
私が特に苦労するのが、ふりがなです。AIへ修正を頼んでも、漢字とルビの位置がずれたり、文字が崩れたり、違う読み方になったりすることがあります。
そこで私は、同じルビについて2回修正を頼んでも直らなければ、同じ方法にこだわらないようにしています。
一度すべてのルビを外す
ルビが正しく表示されないため、一度すべてのルビを削除した状態で出力してください。
一度ルビのない状態へ戻してから、必要な箇所だけ付け直します。
新しいチャットでやり直す
完成途中のPDFをダウンロードし、新しいチャットへアップロードして、修正箇所を改めて伝えることもあります。ただし、必ず直る方法ではありません。
最後はCanvaなどで手作業する
それでも直らない場合は、AIでの修正にこだわりません。背景が単色なら、iPadなどのスポイト機能で背景と同じ色を選び、間違ったルビを目立たなくします。その後、PDFをCanvaへ読み込み、テキストボックスを重ねて正しいルビを追加します。
PDFの状態によっては、元の文字を直接編集できない場合があります。文字の位置やフォントが変わることもあるため、保存後にページ全体を確認します。
AIで直すことが目的ではありません。子供が安心して使える教材を完成させることが目的です。Canva・Adobe Express・VLLOで教材と資料を作るでも、教材作成ツールの使い分けを紹介しています。
見た目がよくなっても、内容が正しいとは限らない
3回目のスライドは、最初より華やかになりました。ただし、見た目がよくなったことと、教材として正しいことは別です。
画像には「約150年前」という表現があります。新選組が結成された1863年から2026年までは約163年なので、現在の教材なら「約160年前」または「1863年(文久3年)」とした方が正確です。
また、「幕末のヒーローたち」という表現は、歴史上の人物に対する評価を先に決めてしまいます。「幕末を生きた人たち」など、授業の目的に合わせた表現へ直した方がよい場合があります。
新選組の説明も、「京都の町を守るためにたたかった武士たち」だけでは単純化しすぎるため、「江戸幕府側として京都の警備などにあたった武士の集団」のように、内容を確認して整えます。
文章が自然でデザインが整っているほど、間違いを見落としやすくなります。作るところはAIに助けてもらう。教材として使えるか判断するのは教師。この役割分担が大切です。ChatGPTで振り返り指導を支え、子供が学び方を選べる授業へでも、最後は教師が確認する考え方を紹介しています。
授業で使う前の6項目
- 文字化けや不自然な漢字がないか
- ルビの読み方と位置が正しいか
- 吹き出しが話している人物へ向いているか
- 修正していない部分に新しい不具合がないか
- 問題文、選択肢、正解、歴史的な説明に間違いがないか
- 実際に授業で映す画面でも文字やイラストが見やすいか
学校で生成AIを使う場合は、自治体、教育委員会、学校の利用ルールも確認します。個人情報や、外部サービスへの入力が認められていない情報は使用しません。画像やキャラクターを使う場合は、著作権や利用条件も確認します。
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- Canva・Adobe Express・VLLOで教材と資料を作る
- ChatGPTで振り返り指導を支え、子供が学び方を選べる授業へ
まとめ|難しいプロンプトより、出来上がったものを見て話しかける
今回の新選組クイズは、最初から完成形が出てきたわけではありません。
まず作ってもらう。出来上がったものを見る。自分のイメージとの違いを考える。そして、「もっと子供が食いつくように」「侍のイラストを入れて」「この吹き出しだけ直して」と、普段の言葉で伝える。
うまく直らなければ、指示を具体的にする。それでも直らなければ、新しいチャットやCanvaなど、別の方法へ切り替える。最後は自分の目で、文字と内容を確認する。
私たち教師の目的は、AIに完璧なスライドを作らせることではありません。目の前の子供たちにとって、分かりやすく、取り組みやすい教材を作ることです。
難しいプロンプトの勉強から始めなくても大丈夫です。まずは、今の成果物に足りないことを一つだけ、普段の言葉で伝えるところから始められます。
